*chronicle*

見たものをわたしの言葉で綴りたい。風景描写の練習ブログです。

20151022 - past II

f:id:riechr:20160903235228j:plain

きみへ

 

書こうとしては手が止まってしまったり、あるいは、いざ書きたいことが見つかったかと思えば用事が詰め込まれてしまったり、なかなか思うようには書けないものですね。

きみもきっと、いつもどおり、忙しい毎日を過ごしているんだろうなと思うと、懐かしいような、少しさみしいような気持ちになります。あの頃は毎日一緒にいて、まるで子どもみたいに、昼も夜もどこまでも見境なく二人で話をしていたよね。

 

だから、今の生活に慣れきるのには、まだ時間がかかりそうです。

 

 この前、珍しく映画を観てきました。勿論ひとりで、です。主演の女優さんがとってもかわいいのと、その子が恋をしている幼馴染の男の子役を、一緒に観ていたドラマに出ていた俳優さんがやっていたので、気になっていました。(八割方後者がメインだって見抜かれましたかね…)

ちょうど、どうしようもなくさみしくて仕方がなかった時期だったのもあると思います。普段は観ないような恋愛映画(それも青春ストーリーな!)なんて観に行ったのは。ヒロインになりきって、俳優さんに恋しちゃえたらいい。そうすれば、一時的にでもきみのことを考えずにすむと思った、そんな単純で安直な理由がないといえば嘘になります。

でも、場内が暗くなって、上映前の宣伝が流れ始めて、そこで、思わず息が止まりました。

 

図書館戦争、映画またやるんだって。

 

レインツリーの国も、いよいよ公開するって。

 

きみに教えてもらった恋のお話はどれも、主人公とヒロインがわたしたちに重なる物語ばかりだったよね。ちょっとした言い合いに意地を張ってぶつかるところ、けんかになると心にもないくらいのひどいことを言ってしまうところ、なんでもないふりをして強がるくせに仲直りのタイミングばかり探してしまうところ…とても似過ぎていて、わたしが読書報告をするたびにきみは本当に楽しそうに、そして少し得意げに笑っていた。そんな素直になれる時間さえ、わたしたちはどこまでも本の中の彼らに似ていたし、きっと日本中、そんな二人は数多くいるに違いないけれど、わたしたちはどこまでもふたりきりの世界で、わたしたちだけのふたりになっていた。

 

そんな日々がなくなってしまうだなんて、思いもしなかった。

 

そんなことが一気に頭の中を駆け巡って、映画の本編が始まる前からひとりで泣きそうになりました。周りは高校生くらいの若い女の子たちばっかりだったから、冷静な大人を装うのが大変でした。

 

そんなわけで、きみを忘れ去るための作戦第一号は、細胞ひとつひとつにまで刻み込まれたきみの断片によって、見事に失敗に終わりました。どこまでもきみは私を縛りつけて離さないんだね。そのくせ、突然ひとりでどこかへ行ってしまう。本当にきみは残酷なひとです。

 

これからもっと寒くなりますね。どうかきみも、風邪などひかないように、体に気をつけて過ごしてください。

愛をこめて。それでは、また。