*chronicle*

見たものをわたしの言葉で綴りたい。風景描写の練習ブログです。

20151030 - past III

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きみへ

昨夜、きみの夢を見ました。きみはいつもと同じようにわたしの隣にいて、わたしが右斜め上を見上げれば、こちらを向いて優しく髪を撫でてくれて。
おでこに触れたくちびるがあまりに優しかったから、夢から覚めてしばらくその場から動けずにいました。
少し肌寒い秋の日、夢の外側にいるきみも、元気にしていますか?
 
めったに見ることのないきみの夢を見たのは、風邪を引いて寝込んでいたときでした。きっと心細かったのでしょう。きみは優しいから、私が弱っているときはいつもさりげなく甘えさせてくれて、寄り添っていてくれた。そんな甘い記憶が今回も私を元気付けてくれて、そして現実の無情さを思い知らせてくれました。
 
日常は、どれほど大切にしていても、いつか過ぎ去っていくものです。
同じ時を過ごしていれば、重ねていくことで忘れずにいられるものも、同じ時を過ごせない今は、日々風化しそうになる思い出をそっと大事に抱え続けることしかできません。
あの頃の私はそんな当たり前のことも忘れるくらい、君に夢中で、先のことなんて何も考えていませんでした。ただひたすら、楽しい日々を笑って過ごしていました。
 
ねえ、またあの頃のように笑える日が来るのかな?
 
…ごめんなさい、今のはやっぱりなしにします。
いつかまた会うことがあったら、その頃にはきっとわたしにも大切な人がいて、きみとも笑って話ができたらいいなって思います。
 
どうか、お元気で。
それでは、また。